障害児の虫歯治療の実態~歯科医J先生その2
こんにちは。
いつもご覧いただきありがとうございます。
昨日は息子1くんが通っている歯医者さん、J先生との出会いを投稿しました。
今回もその続きをお話ししたいと思います。
どうぞ、お付き合いください(*- -)(*_ _)ペコリ
未就学児だった重度知的障害児の歯科治療
J先生がわたしにお願いをしたのは一つだけです。
「ハプニングがあっても予約時間に間に合うくらいの、余裕をもって家を出ること」
息子1くんは3歳~6歳くらいまでが本当に本当に多動で(今もだけど)、
(言われている)言葉もわからず、毎日が予測不可能な出来事ばかりで、
常に癇癪・パニック・自傷・他傷を続けていました。
いつかこの頃のことをブログに書きたいとは思いますが、
わたし自身、きっといまだに受け入れられないくらいつらい時期だったのでめどは立ちません。
でも、ちゃんと半年に1度は歯の定期検診に通っていました。
J先生の「日々成長するんだよ。人より遅くっても、どんなに少しずつだって必ず。
そこを一緒に認めていってあげようよ。」
という言葉にすがりたかったのかもしれません。
あの頃、息子1くんは体が成長し一人でイスに座るようになっていました。
が、まあ、暴れましたね(;´・ω・)
未就学児だったので、まだわたしにも息子1くんを抑える事は可能でした。
肋骨にひびを入れられたこともありますが(笑)
(今は全然無理です!!文字通り吹っ飛ばされます)
わたしが手足を抑えているうちに、J先生と歯科助手さんで手早く治療を始めてくれます。
障害児の虫歯治療の実態 J先生こそゴッドハンド!
歯科治療といっても、まず口を開かない息子1くん。かたくな(-_-;)
歯科衛生士のお姉さんが優しく声をかけてくれます。
「息子1くん。お掃除するから頑張ってお口開けてみようね~」
女の人が大好きな息子1くんはお姉さんお顔は見ますが、口はあかない。
J先生がたんたんと言います。
「ねえ、息子1くん。10数えるだけ口開けてよ。そしたら閉じていいから。
口開けるまでずーっとここで先生待ってるからね」
これが意外にききました。
5分位かけてですが、息子1くんがわずかですが口を開こうとし始めました。
すかさず、自分の指を息子1くんの口の中に突っ込んだJ先生!
歯科助手さんに指示を出しながら、息子1くんの口をこじ開けていきます。
最初に突っ込んだJ先生の指は、もちろん息子1くんが必死で噛みついています。
絶対めちゃくちゃ痛いです(; ・`д・´)
見ているわたしのほうが「先生、ゆび・・・」と口にしてしまいました。
J先生は「お母さんは、今は体抑えてて!(歯の治療が)できたら終わるんだってことを教えるんだから!!」と。
J先生は息子1くんをじっと見て、変わらない口調で言います。
「息子1くん。先生の指噛んでも、
先生は絶対指を抜かないからね」
「(歯の治療が)終わったら、おしまいにするって約束だからね」と冷静に続けます。
噛みついてもひるまないJ先生に息子1くんは、驚いたのかもしれない、ひるんだのかもしれない。
でも、きっと伝わったのか、息子1くんはまた少しずつ口を開きだしたのです。
再びチャンスを逃さずに、どんどん口を広げて「10」数えながら歯の治療を終わらせてくれました。
「息子1くん。ちゃんとできたじゃん。一つ成長したね」
中学生になった重度知的障害児の虫歯治療の現状
歯医者さんに行くことは嫌がりません。
(待ち時間の多い内科などでは足取りが重くなることもしばしばですが)
以前より、人の話している言葉の意味は理解が広がった息子1くんですが、
「やらなきゃいけないこと」よりも「やりたくない感情」の方が相変わらず優勢です。
きっと自分の中でも折り合いはつけているのだと思いますが(((uдu*)
イスには一人で座ります。わたしは息子1くんの手を軽く握っています。
安心感を与えるためと、反射的に手が出てしまうのを防ぐためです。
もう抑えつける必要はなくなりました。成長です。
治療のために口も開きます。成長です。
奥歯の治療は大きく口を開き続けなくてはならないので、難しく、小さな器具を使い(ビューラーくらいの大きさ)大きく口を開けた状態をキープします。
器具に助けを借りられるようになったのも成長です。
歯を削って、薬を入れて、埋めて、磨いての工程を出来る様になりました。
全部の工程で「10まで」数えて、10まで頑張ったら次の工程という繰り返しです。
ゆっくり数える「10」ですが、そこでちゃんと収めてくれる。
J先生はゴッドハンドです。
障害児でも虫歯は予防が一番大切
自宅での歯磨きでも、なかなか一番奥の歯は磨けません。
(大人だって虫歯になりやすい場所ですよね)
まず息子1くんは口をそこまで開いてくれません。おえってなるくらい開かないと磨けませんし。今回も奥歯が虫歯になってしまいました(;・∀・)
J先生もなかなかうまく磨けないのは理解してくれ(磨けるのがベストなんだけど)、今回マウスウォッシュを提案されました。
「歯磨き成分の入ってるリステリンみたいなのを使うのも、虫歯予防にはなるよ。
歯磨きが一番だけど、できない部分とか、補助的な役割で使ってみたらどうかな。
でも、飲み込んじゃだめだから、そこは練習しないといけないけど・・・
最初は大人でも味がきついから薄めて使えば慣れると思うし」
早速帰りに購入し、挑戦しました。
「飲んじゃだめだよ~」と言いながら(笑)
障害児の虫歯予防も日々のケアの積み重ね
今はまだ、リステリンを口に含んで、出すといった感じですが、息子1くんにもできました!!
歯磨きをさらに練習しつつ、リステリンを併用して虫歯予防を心掛けたいとおもいます。
次回J先生に「息子1くんにもできました~」と成長を伝えられるのが楽しみです。
なにかうれしい報告ができる時、なにか挙げられるものがある時って
少しだけ自分が誇らしくありませんか?
大暴れしてイスに座るまで時間がかかった日もありました。
ダッシュで逃げ出して、追いかけっこ状態が続いた日もありました。
予定が合わなくて、他の歯医者に逃げ込んだこともありました。
(でもその先生には手に負えず「大学病院に行ってください」と言われました)
泣きすぎてうんち漏らした日もありました。
今だって口を照らすライトが気になって、治療中でも指さしてしまうけど。
今だって気分がのらない日は何やら文句をたれいるけど。
今だってうがいする水は飲んでしまうことも多いけど。
やっぱり人より治療時間はかかってしまうけど。
J先生、息子1くんを受け入れてくれて
ありがとうございます。
障害児の虫歯治療には厳しい優しさが必要
J先生が時間に厳しいのは、患者さんを待たせない優しさがあるから。
子どもにだって本気なのは、虫歯でいたい思いをさせたくない優しさから。
親に出す宿題は、子供の成長を気づかせる優しさではないでしょうか。
誰かを想い、優しくしたいなら、どこかで厳しく律する部分が必要です。
毎日、暴れる障害を持ったお子さんの歯を磨くことも厳しい優しさです。
厳しさの上に成り立った優しさは、気づきずらいけど、ホンモノです。
わたしも本当の優しさを作り上げたいです。
先日の内容と重複しますが、
障害を持った子・暴れる子を歯医者に連れて行くのは気が重いです。
でも、だからこそいろんな先生を回ってみて下さい!
失敗はありますが、いつか「そんなこともあったね」に変えられるはずです。
いつか必ず出会えるJ先生がいるはずです。
長く読みづらい文章に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
皆様にとって良い日になりますように。