シングル(未満)マザー ~鏡花水月~

重度知的障害児の中学生(自閉症)ときょうだいとの日々。同じ悩みを抱える誰かが少し明るくなれるように。

<特別支援学校>厳かじゃない卒業式

こんにちは。

ご覧頂きありがとうございます。

今回は今週のお題「卒業」について書きます。

昨年、特別支援学校小学部を卒業した息子1くんのエピソードです。

わたし自身初めて、特別支援学校の卒業式を体験したのですが、

「みんなに一度は見てほしい」と思った卒業式だったので投稿いたします。

 

 

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卒業式・卒園式は厳か(おごそか)に

卒業式のイメージといえば、シーンと静まり返った体育館。

ピンとした空気、凛とした卒業生・在校生の顔が思い浮かびます。

静寂の中で進められていく式典は、本当に立派で、〇年間色々なことがあったことを思い出させてくれます。

「楽しかったこと、大変だったこと、思い出に残ったあのシーン」などなど。

最後の合唱は、何故かこみあげてくるものがあります。

不思議なことに、健常児はみんな空気をきちんと読んで、保育園の卒園式でさえ、

同じ心地よい緊張感のある空気が漂います。

子どもたちは、慣れ親しんだ学校・仲間との別れに胸が熱くなり、

親としても「成長して卒園・卒業するんだ~」と実感がわきますよね。

特別支援学校の卒業式は厳かではない

特別支援学校は、知的・情緒・学習などに特別(special、最先端の、個人に合わせた)な教育を必要とする子どもたちが通う学校です。

なかなか静かな状態をキープするのも、きっちり座っているのも大変です。

上手な子もいますが、息子1くんの様に体育館自体が苦手、トイレに行きたくなってしまったり、

早く体育館から出たいという子もいます)

そのような卒業生に加え、在校生もみんな同席してくれます。(練習を兼ねて、経験の為という意味合いもあると思います)

「式典」が始まるというより、なにか楽しい「集会」が始まるような空気感です。

穏やかな空気で包まれた体育館で、居心地のいい「卒業式」が始まります。

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特別支援学校の卒業式は子どもに合わせて

卒業生入場は、他の学校と同じイメージで、体育館の後ろから整列して入場します。

ですが、教職員に手を引かれて登場する子もいます。

息子1くんもどこかに走り出す心配があるので、担任の先生と手をつないでやってきました(笑)

まず驚いたのは、みんな笑顔で入場してきたことです。

緊張感に包まれた成長したピシッとした顔ではなく、にこにこ~(o^―^o)と入場してきます。

おうちの方がいるのが分かってうれしいのかな?

卒業生が着席した後も、なんとなくずっとざわざわしています。

感想をすぐに話したくなってしまう子、立ち上がりたくあってしまう子、

注意する子、トイレに行きたい子、テンションが上がってしまう子など様々です。

ひとりひとりに合わせて、できるだけ式典に参加してくれるよう促してくれる先生方、本当にありがとうございます。

卒業式は終始この和やかな空気で進みます。

見どころの卒業証書授与では、ほかの学校と同じように一人ずつ名前が呼ばれます。

声の小さい子はマイクを使って返事をします。

なかなか返事が出ないには、みんながその子の返事を待ちます。

声が出せない子は先生にハイタッチで答えます。

壇上に上がれない子には校長先生が下りていきます。

カメラを用意して、その様子をスクリーンに映します。

苦手なこと、できることはみんな違います。

それぞれができることを一生懸命し、

みんながサポートします。

まさにみんなでつくる卒業式です。

卒業生・在校生の合唱は、どちらも明るいテンポの楽しい歌です。

(ちなみに校歌も弾むような歌です)

双方の合唱にはちょっとした振付があり、

「頑張ったね」「また会おうね」という意味合いが強く表れ、

みんなが卒業を楽しく祝うために歌います。

新しい門出を笑顔で迎えるための卒業式です。

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特別支援学校はみんなが自分らしくいられる空間

息子1くんのように立ち上がってしまったり、突然大きな声を出してしまうことは式典中に何回もあります。

ハプニングはつきものですが、親も子もみんな笑顔で見守っています。

誰もハプニングに動じないんです( *´艸`)

「日常的な世界」の中では失敗とされることも、この学校(障害を通して通じ合った人たち)では、それも旨味の一つです。

競争とは少し離れたこの暖かな世界は、

誰かの目を気にすることなく、

みんなが自分らしく過ごし、

いつもちょっと賑やかで穏やかです。

 特別支援学校の視線の合わない集合写真

特別支援学校の集合写真は大変です(;^_^A

集中力が続かない子が多いので飽きてしまったり、立ち上がってしまったり、ほかのことが気になったり…大忙しです。

カメラマンの先生は言います。

「とりあえず、親御さんたちはいつシャッターを切ってもいいように、

笑顔と視線をキープしててくださいね」と(笑)

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最後に

なんとなく雰囲気をお伝えできれば幸いです。

にぎやかな障害のある子を見かけたら、「それもありね」と思っていただければ嬉しいです。

最後の先生の言葉「笑顔をキープしてくださいね」は、

子どもたちはゆっくり日々成長していく様子を「笑顔をキープして」、

「いつでも目と心を離さないで見守ってくださいね」

と聞こえます。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

穏やかな一日になりますように~